乳歯が抜けない原因
乳歯は基本的に、5歳前後から中学生に入るくらいまでに抜け落ち、永久歯に生え変わるとされています。乳歯が抜けるということは、子供が成長していることの証でもあるため、お子様の歯が抜けるのを待っている親御さんも多いのではないでしょうか?しかし中には、乳歯がいつまで経っても抜けないというケースがあります。十数人にひとりという高い割合で起こることなので、誰であっても起こりえるトラブルだと言えるでしょう。乳歯が抜けない原因にはどのようなものがあるのでしょうか?今回は乳歯が抜けない原因や、抜けないことによる影響についてご紹介します。
☆乳歯が抜ける仕組み
永久歯の種である歯胚は、妊娠3~5ヶ月頃から作られはじめ、歯茎の中で成長しています。永久歯の成長が終わり、生え始める準備ができるまでの間、歯茎の表に出ているのが乳歯です。永久歯が生える準備を終え、乳歯の根元あたりまで到達すると、破菌細胞という細胞が乳歯の根っこを溶かしはじめます。一定の割合溶かしてしまうと、乳歯がぐらぐらと揺れ始め、やがて抜け落ちてしまいます。つまり、永久歯が成長し、生える準備が整うことで乳歯が抜けるという仕組みになっており、逆に言えば、永久歯が育たないと乳歯は抜けないということです。
乳歯が抜けない人が増えている!
一般的に乳歯は、5歳前後から中学生にあがるまでの期間で抜けてしまいます。しかし、最近は30代、40代になっても乳歯が抜けない人が増えています。割合は7~8%程度であるとされており、男性よりも女性に多い傾向があります。乳歯が抜けない人が増えている原因として、かつてと比べて柔らかい食事をとることが多くなった現代社会の食生活がその一つとして挙げられています。先天性欠如で乳歯が抜けないケースもあり、明確な予防策は確立されていません。
☆乳歯が抜けない主な原因
①永久歯の成長が遅れている
前項で紹介した通り、乳歯は永久歯が成長することによって根元が溶け抜け落ちます。体の成長速度が人によって異なるように、永久歯の成長速度も人それぞれです。永久歯の成長速度が遅いということは、乳歯がぬける時期も遅くなってしまいます。早い方は5歳前後で生え変わりますが、中には中学生に上がってから生え変わる方もいます。周囲と比べて生えかわりが遅いと不安になることがあると思いますが、成長速度は人それぞれ違うのだということを念頭に置いて様子を見るようにしましょう。
②埋伏歯
埋伏歯とは、永久歯が骨や粘膜に埋まったまま生えてこない状態のことをいいます。最もよく知られている埋伏歯は親知らずですが、ときに奥歯だけでなく別の永久歯が潜伏歯になってしまうことがあるのです。永久歯が埋まったまま生えてこなければ、乳歯の根っこが溶けることがなく、乳歯は抜け落ちません。歯並びなどに問題がなければ埋伏歯はそのままにしても問題ありません。
③先天性欠如
基本的に永久歯は誰であっても生えてくるものですが、中には先天的に永久歯が生えてこないという方もいます。そのことを先天性欠如といい、この場合、永久歯が生えてこないため乳歯が抜け落ちません。全体の約1割(10人に1人)が先天性欠如であると言われており、永久歯が欠如する位置として多いのは、前から2番目、5番目であるとされています。
☆乳歯が抜けないことの影響
先天性欠如で乳歯が抜けない場合は、永久歯が生えてこないので乳歯をずっと使い続けることになります。しかし乳歯は永久歯を前提に生えてくるものですので、一生使い続けることができるほど頑丈に作られていません。だいたいの場合、大人になると自然に抜け落ちてしまいます。大人になってから乳歯が抜け落ちると、ほかの歯とのバランスが悪くなり、歯並びが悪くなってしまうかもしれません。
まとめ
乳歯が抜ける時期は人によってさまざまです。中には中学生まで歯が生え変わらないという方も珍しくありません。お子様の歯がなかなか抜けない場合も、それほど焦ることなく落ち着いて経過観察をしていくようにしましょう。中学を卒業しても乳歯が抜けない場合は、今後のことも考え歯科医に診てもらうなどの対応をするようにしましょう。