妊娠中の口腔状況
妊娠すると食べ物の趣向が変わったり、悪阻のために一度にたくさんの食事がとれないために数回に分けて食事したり、、間食が増えてしまうということがあります。そうすると、自然とお口の中にはプラークや歯石が溜まりやすい状態となります。また、妊娠中はホルモンの影響により、歯肉炎や歯周病になりやすくなると考えられています。歯周病による炎症が血液を介して全身に波及すると、妊娠している女性の場合、低体重児および早産のリスクが高くなることが指摘されているようです。
そのリスクは実に7倍にものぼると言われ、タバコやアルコール、高齢出産よりもはるかに高い数字です。
なぜかというと、妊婦さんが歯周病を発症すると、炎症性サイトカインという物質が過剰に分泌されるからだそうです。炎症性サイトカインは、炎症を促進する細胞間物質で歯茎などの毛細血管から血液中に入り込みます。妊娠中に炎症性サイトカインの血中濃度が高くなると、それが出産の合図になってしまうのです。
【妊娠中の口腔内の変化】
・炎症症状が過剰に起こる傾向 ・抗菌作用、自浄作用の低下 ・歯肉の腫れ、出血 ・口臭がある
・唾液の分泌量の減少と粘度の増加 ・悪阻などによる清掃不良 ・冷たい物、熱いものがしみる ・食事やおやつの回数が増える
・お口の中のPHの低下 ・食習慣、好みの変化と偏り ・歯や歯肉が痛い などがあげられます。
このような変化による虫歯や歯周病を予防するために、歯磨きを頑張ろうと思っても、悪阻などのために歯磨きをすることが難しいときもあると思います。
その場合には次のような事を試してみてください。
・ヘッドの小さな歯ブラシを使う(小児用など) ・姿勢を前かがみ気味で、前にかき出すように磨く
・やわらかめの歯ブラシを使う ・においの強い歯磨き粉は避ける
・歯を磨くときに歯ブラシの動かし方を小さくする ・できるときに何回かに分けて磨く
・歯磨きできない時には甘い物などを避ける
ただ、悪阻がひどいなら、あまり神経質にならずに洗口液などを使用するようにし、調子の良いときに磨く程度でもいいかと思います。
生後間もない赤ちゃんの口腔内には虫歯菌はいません。
生まれる前の胎内では無菌状態で、生まれてからさまざまな菌にさらされながら感染していきます。
虫歯菌に関しては、歯が生え始めてから細菌が繁殖する環境が整うようになります。
およそ1歳半~2歳半くらいの間に感染しやすく、唾液を介して虫歯菌が口腔内に感染すると言われています。
親の虫歯菌が少ないほど、子供への感染は少なくなると言われていて、感染する時期が遅いほど虫歯になりにくいという報告もあるそうです。
神経質になる必要はありませんが、正しい知識を身につけて定期検診に通いましょう!
2023年06月12日 14:51