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歯の治療を中断したら

みなさんは、歯が痛くなって歯科医院に通い始めたけれど「歯が痛くなくなった」「忙しくて行けない」「仮歯が入って噛みやすくなった」などの理由で治療を中断したことはありますか?
今回は治療を中断することで起こるトラブルについてお話します。

【根管治療(根っこの治療)を中断すると】
細菌や腐敗産物で汚れた根管 (歯の神経が入っていたところ)を清掃、消毒し、薬で隙間なく封鎖する処置が根管治療です。
この根管治療を途中でやめてしまうと、根管内が再び細菌に感染したり、口腔内の汚れで汚染されてしまいます。
根管治療では神経に到った膿を少しずつ取り除いた後に神経の代わりとなるお薬を入ていく処置のため他の治療に比べて、虫歯の度合いによって歯は通院回数も多く長くかかる治療です。そしてそのまま放置しておくと、根の先にできた病巣(根尖病巣)が多きくなってしまったり、虫歯が根の方に侵攻してしまい、本来なら、抜かなくても良い歯も抜くことになってしまいます。また、根の周囲が膿んで強い痛みがでたり、大きく腫れたりすることもあります。しっかりと最後まで治療を受けないと更に病気を進行させる結果になってしまいます。
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【削って型をとって1~3ヶ月そのままにする】
むし歯などで歯を削ったあとは、クラウンやインレー、ブリッジなどの詰め物を作るために型をとります。
その型を元にして補綴物を製作するのですが、通常1週間以上程度の製作期間が必要です。
できた補綴物は患者様1人1人に合わせて作ったオーダーメイドのものです。
また、適合性は非常に精密にできており歯との隙間が生じないようになっています。
そのため型をとってからあまり多くの日にちが経ってしまうと、装着時に調整が大変だったり、入らなくなってしまう場合もあるので注意が必要です。
さらに長時間放置すれば、再び虫歯になってしまったり、歯並びや噛み合わせに狂いが出てきてしまいます。
型をとった次回の診療は必ず来るようにしましょう。また、長時間放置してしまった場合でもできるだけ早く受診するようにしましょう。
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【仮歯のまま放置する】
一時的に見た目が元に戻るのが、プラスチック状の樹脂などで歯に被せ物を作る仮歯です。
完成後の形態や見た目の回復の為に作製されますが、長期間の使用にたえることはできません。
仮歯は時間が経過すると次第に擦り減ってしまうことにより、隙間から虫歯になったり、噛み合わせが変化したりします。
再度治療をはじめたときに、また虫歯の治療をやり直したり、新たに土台の歯を削り落としたりしないといけなくなることもあります。
仮歯はあくまで仮の歯ですので、ガム、飴、おもちなどひっつきやすい食べ物は仮歯が外れる原因となりますので、お控えください。
また仮歯が外れたり、欠けたりした場合は捨てずに歯科医院を受診しましょう。

【抜歯後に放置した場合】
失った歯を噛み合う相手の歯が、噛みあう相手の歯が失われたために、空いたスペースに向かって伸びてきます。
これを挺出と言います。上下の歯はそれぞれしっかりと噛み合う相手の歯があるのが正常な状態ですが、相手の歯が失われると接触する歯がないため、そのまま伸びてきてしまいます。その場合には歯が伸びるのではなく、骨の中に埋まっていた歯の根の部分が出てきますのでその状態になってから元に戻すことは大変むずかしくなります。
また、失った噛み合う歯の両隣の歯が傾いてきます。歯を失うと、歯と歯の間に一本分の隙間ができてしまいます。
両隣の歯は徐々にそのスペースの方に動いて傾いてきます。
そのまま放っておくと、両隣の歯が斜めに傾いてしまい、失った歯の部分にインプラントや入れ歯をしようと思っても両隣の歯が傾いてスペースを塞いでいますのでうまく治療ができなくなってしまうので注意が必要です。

 

2023年08月02日 19:04

唾液の減少の理由と対策

「唾液が少なくて口の中が渇く」こんな悩みを持っている方は多いのではないでしょうか?唾液が少ないと、口臭の原因になったり、むし歯や歯周病の原因になってしまうなどのデメリットが挙げられます。では、どうして唾液が少ないという状態に陥ってしまうのでしょうか?今回は唾液が少ない人の10の特徴と唾液を増やす対策方法についてご紹介します。


 
☆唾液が少ない人の10の特徴
唾液が少ない状態、いわゆるドライマウスになってしまうのには様々な要因が挙げられます。ここでは唾液が少ない10の原因とその対策についてわかりやすく整理していきます。

①口呼吸
鼻炎や花粉症などで鼻が詰まると、呼吸をするために自然と口呼吸になり、唾液が少ない口の中が乾燥する症状を引き起こします。鼻呼吸の場合、空気は多くの壁に仕切られている副鼻腔を通るため、乾燥しにくい構造となっているのですが、口呼吸をしていると口腔内の粘膜が空気に触れるために唾液が渇きやすくなってしまうのです。

【対策】
口呼吸が癖になっている方は鼻呼吸に替えるトレーニングが必要です。口呼吸そのものの原因が鼻の病気であれば、その病気治療が根本的な解決策となります。歯並びが原因である場合には、矯正含め歯科医院で相談してみましょう。



②過度なストレス
唾液の分泌をコントロールしているのは自律神経ですが、緊張状態や過度のストレス、イライラ、悩みを抱えることによってこのバランスが崩れてしまい、交感神経が優位に働くことで、粘つきのある唾液が分泌されるようになります。唾液の量自体も減少してしまうため、口の中が渇いた状態になってしまうのです。

​​​​​【対策】
唾液の量を増やすにはストレスの原因を取り除くことが1番の対策方法ですが、現代社会においては多かれ少なかれ誰でもストレスは抱えているものです。軽い運動や趣味などでリラックスしながら気分転換を図り、ストレスを上手に発散することを意識しましょう。



③咀嚼が少ない
唾液は嚙むことによって唾液腺周辺の筋肉が動き、唾液腺が刺激されて分泌を促進します。ところが、あまり噛む必要のない柔らかい食べ物ばかり食べていたり、よく噛まないで食事をしていたりすると、唾液の分泌が鈍くなり、徐々に唾液が少なくなってしまいます。

【対策】
噛む回数が少ない場合には、意識して噛む回数を増やすことが重要となります。食事するにも忙しくてなかなかゆっくりと時間がとれず。咀嚼回数を増やせないという方は日常的にガムを持ち歩いて口の渇きを感じたときに噛むなどして唾液の分泌を促しましょう。糖分が気になる方はシュガーレスのものを選ぶのがおすすめです。



④タバコを吸う
タバコに含まれるニコチンは体内の血管を縮小させて血行を悪化させ、唾液の分泌機能を低下させます。喫煙者の口臭がきつくなりやすいのは、タール(ヤニ)のにおいの他、唾液が少ない状態に陥ることも原因の1つとして挙げられます。

【対策】
もちろん禁煙することが最良の方法ではありますが、愛煙者にとっては禁煙自体が少なからずストレスに結びついてしまうため、無理のないように徐々にその方向に向かっていくことが大切です。タバコを吸ったあとはこまめに水分をとり、飴やガムを口にして唾液を増やすことを心がけましょう。



⑤アルコールの飲みすぎ
アルコールを摂取すると、尿や汗と一緒にアルコールを体外に排出しようとする利尿作用が働きます。また食事量や水分量が不足しがちになるため、脱水症状を引き起こしやすくなります。飲酒によるアルコールの過剰摂取も体内の水分バランスが崩れて口腔内の唾液の減少を招く原因の1つなのです。

【対策】
日頃からお酒を飲む習慣のある方はお酒の量を控えることが1番ですが、飲み会やお付き合いなどでどうしてもアルコールを飲まざるを得ないという場面も多いものです。お酒をのむシチュエーションでは水も一緒に飲むと脱水症状を避けて、唾液が少ない状態にならずに済みます。



⑥加齢
年齢を重ねていくと、口周りの筋肉や歯の力が衰えて噛む行為が困難になり唾液が分泌されにくくなってしまいがちです。また、高齢になると徐々に猫背になりますが猫背は呼吸を浅くさせて口呼吸を引き起こします。


【対策】
年齢による老化現象に抗うことは困難ですが、普段の食事から可能な限り噛み応えのある食品の摂取に努める、背中が丸くならないよう意識して良い姿勢を保つことが重要です。



⑦薬の副作用
年齢を重ねれば持病などで薬に頼らざるを得ないこともありますね。昨今では花粉症などに悩まされる方も多いのですが、服用する薬によってはその副作用により唾液が減ってしまうことがあります。例えば、高血圧の薬や鎮痛剤、抗うつ剤、あるいは花粉症の治療に使用される抗ヒスタミン剤なども口の中を乾燥させる原因になると言われています。

【対策】
自己判断で薬の服用を止めることは大変危険です。病気の種類によってはどうしても服用せざるを得ない場合もあるため、かかりつけの医師に口の渇きに対する症状をしっかりと説明し、薬の量や種類について相談しましょう。



⑧水分不足
正常な大人の唾液分泌量は1日約1.5リットルと言われています。つまり、それだけ水分を補給することが大切なわけですが、この水分補給を怠ることで唾液の減少に繋がってしまいます。ダイエットなどで無理な食事や水分摂取の制限を行っている方は特に注意が必要です。

【対策】
唾液の減少は口の中が渇いてしまうことによるものです。できれば、唾液が少ないと感じる前に普段からこまめに水分補給をして唾液の分泌を促進させることが望ましいでしょう。



⑨話す機会が少ない
営業職や接客業とは異なり、中には仕事柄、もくもくと仕事をこなしていくような日常的に喋る機会が少ない職種の方も多いのではないでしょうか?喋る機会が少ないということは、口や舌を動かす機会も少ないということになりますので、唾液のスムーズな分泌が難しくなってしまいます。

【対策】
日常的に人と話す機会を作り、おしゃべりで口を動かして唾液の分泌を促すよう心がけましょう。そのほかの方法としては、空き時間にできる舌を使ったベロ回し体操で唾液分泌の促進を図るのも効果的です。
ベロ回し体操のやり方
1.口を閉じ歯に沿って右周りに舌をまわしていきます。
2.右回りがおわったら次は左回りに歯に沿って舌をまわしていきます。
3.最初の回数は無理をせず、10回を目標にしだんだんと回数を増やしていきましょう。



⑩ファストフードやカフェイン飲料の摂取
手間をかけることなく買ってきてすぐに食べられるファストフードは便利なものですが、ファストフードはあまり噛むことなく食べられてしまうため、唾液の減少を招きます。またカフェインを含む飲料の飲みすぎも、カフェインの利尿作用により体内の水分量を低下させ、唾液が減少してしまいがちになります。

【対策】
基本的には咀嚼回数を増やすことが重要であるため、ファストフードをよく食べる方はしっかりと噛み応えのある食事にシフトチェンジしましょう。普段からコーヒーなどのカフェイン飲料を好んで飲んでいる場合、ノンカフェインの飲み物に替えるか、水分補給をまめに行うことが大切です。



唾液の減少にはさまざまな原因が挙げられますが、ご紹介した唾液の減少で考えられる10の原因に当てはまらない場合は病気が原因であることも疑われます。
 
唾液が少ない症状で想定される病気は?
・糖尿病  ・シェーグレン症候群

中でも唾液の減少が顕著な症状として現れるのがシェーグレン症候群です。自分の身体にも過剰に反応して攻撃してしまう自己免疫疾患のひとつであるシェーグレン症候群は、主に唾液腺や涙腺に障害を起こし、乾燥症状を招く病気です。年齢は50代をピークに圧倒的に女性に多く、その男女比は1:14と言われています。いくら改善策を講じても唾液の減少が治まらないという場合には、なるべく早く受診するようにしましょう。

 
2023年07月25日 16:11

根尖病巣について

みなさんは「根尖病巣」という病気を知っていますか?
歯の根に膿が溜まって違和感が生じる病気のことです。自覚症状が無い場合が多く、たまたまレントゲンを撮影した際に発覚する場合もあります。
口腔内に膿が溜まるのは、一体なぜでしょうか?今回は根尖病巣についてお話します。
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【膿が溜まるのはなぜ?】
①重度のむし歯
最も多いのがこの理由です。むし歯は放っておいても自然治癒することがなく、徐々に症状が進行します。
細菌が内部にまで到達して神経が感染すると、眠れないほどの激痛に襲われてしまうでしょう。
ここでも我慢していると、やがて神経が死んで痛みが消えます。中には痛みが消えた段階で、むし歯が治ったと勘違いしてしまう方もいると思われます。
しかし実際は、細菌が歯の根を蝕んで炎症を引き起こしています。神経が死ぬと痛みを感じなくなるため、事態の深刻さになかなか気づけないのです。

②不十分な処置
何らかの理由で神経が死ぬと、抜髄をしなければなりません。
これは比較的難しい処置であり、経験と実績が豊富な医師であっても成功率が80%程度とされる治療です。
それは人間の歯の根は複雑な構造をしており、確実に菌を取り除くことが難しいのです。
菌が残ってしまうと、細菌の動きが再度活発化して歯の根へ入り込みます。

③歯の破折
抜髄をした歯は非常にもろくなり、ちょっとした衝動で破折しやすくなります。
激しいスポーツでぶつかった拍子に折れることもあるでしょう。破折した部分から、細菌が侵入して歯の根を蝕むことがあります。
また歯に「中心結節」という突起がある方は、この部分が折れたときにも細菌が内部へ侵入します。
これは歯の根が完成していない小学生や中学生で起こる可能性もあるため注意が必要です。

【主な症状】
代表的な症状6つです。
①フィステルができる
歯茎にできた白っぽいできものを、「フィステル」と言います。
いわゆる「膿の入った袋」で、ニキビや口内炎のような見た目をしているのが特徴です。
歯根嚢胞は袋状になっており、中の膿が増えると徐々に大きくなります。
口腔内にできものがあると気になる方もいるはずですが、ご自身でつぶさないよに注意してください。
歯科医院で適切な処置を受けましょう。

②歯茎が腫れる
免疫力の低下によって、歯茎が突然腫れて痛むことがあります。
風邪などの体調不良や、疲労、ストレスが蓄積しているときは特に注意が必要です。
重度の場合は口を開けにくくなったり、顔の外見が変わったりするので早めに受診してください。

③噛むと痛みが出る
歯痕嚢胞ができた歯で噛むと、歯根膜が炎症を起こして痛みが出やすくなります。
噛んだ時に異常が出るのは、歯根膜が炎症を起こして痛みが出やすくなります。
噛んだ時に異常が出るのは、歯根膜が噛んだものの硬さを判断する器官であるためです。

④歯が浮く
症状が進行して膿の袋が肥大化すると、歯槽骨を溶かすようになります。
その結果、歯が浮いたり、ぐらぐらしたりと違和感が生じるようになるでしょう。

⑤副鼻腔炎になる
歯根嚢胞が上の歯にできると、副鼻腔炎を引き起こす可能性があります。
上顎は歯に根が副鼻腔に近いため、鼻にも細菌が入り込むのです。
鼻づまり、頭痛、顔面痛といった症状にお悩みで、なかなか治らない方は歯根嚢胞が関係しているかもしれません。
進行するにつれて口臭もひどくなるので、早めの対処が必要です。

⑥骨髄炎
下顎に歯根嚢胞ができると、骨髄炎になるリスクが高まります。
特に風邪や疲労で免疫力が低下している時や、膿の袋が大きくなりすぎた場合は要注意です。

【治療法】
〈根管治療〉
死んだ神経を除去(抜髄)し、管を綺麗に洗浄・消毒してフタをする治療です。
同じ歯が何度も細菌感染を起こしている場合は、治療の方法に問題があるかもしれません。
歯科医院で相談して、治療をしてもらいましょう。


 
2023年07月22日 10:58

根面う蝕

【根面う蝕について】
「根面う蝕(こんめんうしょく)」とは、歯の根元にできるむし歯のことです。
不適切なブラッシングや、加齢、歯周病などが原因で歯茎が下がり、歯の根元が露出するとそこに新たなむし歯のリスクが生じます。
根面う蝕は進行が早く、歯を失うリスクも高いので適切なブラッシングやフッ素配合の歯磨き粉などを使って予防しましょう。

【大人ならではのお口の中の変化「歯茎下がり」】
大人になると生じるお口の中の変化に「歯茎下がり(歯肉退縮)」があります。
歯茎下がりは不適切なブラッシングや加齢、歯周病などの因子が複合的に関与して起こります。
30代では役60%、50代以上ではほぼ全ての人に”歯茎下がり”が見られています。
では、歯茎が下がるとどんな問題が起こるのか。
・歯と歯の間に隙間ができるので、歯に物が挟まる
・歯の根元が露出するので、歯がしみる
・露出した歯の根元がむし歯(根面う蝕)になる
といったトラブルが起こりやすくなります。
「最近、歯に物が挟まりやすくなった」「歯が長く見えるようになった」「時々歯がしみる」と感じたらそれは歯ぐき下がりのサインかもしれません。

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【「根面う蝕」とは、歯を失うリスクの高いむし歯】
歯ぐき下がりにより露出した歯の根元にできるむし歯を「根面う蝕」と言います。
むし歯は虫歯菌が作り出す酸によって歯が溶けることでできますが、歯の根元は酸に弱いため、虫歯になりやすい部分です。
また、気づきにくく進行も早いために、歯を失うリスクも高いという特徴があります。
つまり、これまできちんとケアしてきた人でも、新たなリスクの発生により今まで守ってきた歯を失いかねないとても厄介なむし歯です。

【「歯の根元」がむし歯になりやすく進行が早い理由】
歯は、硬いエナメル質と、その下の柔らかい象牙質の大きく2つの層にわけられます。
歯ぐきが健康な状態にあって露出している部分(歯冠部)は、エナメル質に覆われています。
エナメル質はほぼカルシウムなどミネラルの結晶でできている、とても硬い組織です。
一方、象牙質はコラーゲンが30%を占めており、コラーゲンの間にミネラルが存在するという構造で、エナメル質と比較すると柔らかい組織です。
本来歯ぐきに埋まっている部分(歯根部)にはエナメル質はなく、歯茎が下がって歯の根元が露出してくると、柔らかい象牙質がむき出しになってしまいます。
この構造の違いにより、象牙質はエナメル質に比べて酸に弱く溶けやすいのが特徴です。
普段の歯垢のPHは中性付近ですが、飲食すると歯垢の中の細菌が糖をエサにして酸を出すことで歯垢の中は酸性に傾きます。
その際、エナメル質が溶け始めるPH(臨界PH)は約5.5であるのに対し象牙質の臨界PHは約6.7なので、飲食により歯垢の中のPHが下がり始めると、象牙質はエナメル質よりも早く(弱い酸で)溶け始めてしまうのです。

【30代以降になると増えてくる「根面う蝕」】
「大人のむし歯」と言われる根面う蝕ですが、では何歳くらいから発症するのでしょうか?
「歯ぐき下がり」は20代でも役4割の人にあるとされています。
そのため30代くらいから根面う蝕ができはじめ、40代では歯ぐき下がりがある人の約20~30%、60代では約半数が根面う蝕にかかっています。
つまり、根面う蝕のリスクは30代から高まり、以降、加齢にともなって増加していくのです。

【根面う蝕の予防方法】
年を重ねるごとにかかるリスクが高まり、気づかないうちに進行していることも多い根面う蝕。
健康な歯を守るためにも、これまでの歯磨きをきちんと見直しましょう。
①軽い力で丁寧にブラッシングする
根面う蝕を発症させない第一のポイントは、歯ぐき下がりを起こさせないことです。
歯ぐき下がりの原因の1つである不適切なブラッシング=力を入れすぎたブラッシング(オーバーブラッシング)に注意しましょう。
また、露出した象牙質に対しても、オーバーブラッシングは禁物です。
適切な力加減は、歯ブラシを歯に当てたときに毛先が広がらない程度の軽い力で磨きます。
1ヵ月しないうちに歯ブラシの毛先が広がってしまう人はオーバーブラッシングの可能性があります。
②フッ素を活用する
〈フッ素配合歯磨き粉を使う〉

フッ素には再石灰化を促進する、歯の質を強化する、歯垢の中の虫歯菌が酸を作り出すのを抑制するなど、虫歯予防に役立つ働きがあります。
もちろん歯冠部のむし歯と同じように、根面う蝕にもフッ素は有効です。
おすすめは高濃度フッ素配合歯磨き粉です。歯磨き粉のパッケージにフッ素配合量(1000PPM超1500PPM以下)が表示されています。

 
2023年07月12日 11:12

歯茎の痛み

【歯茎が痛む原因と治療法】
 

虫歯ではないけれど、歯の近くに違和感がある、歯茎が痛いといった不快感があると、気になってお仕事や勉強に集中できません。今回は歯茎に痛みを感じたときの原因とその治療法についてご紹介します。歯茎に痛みがあっても、様子をみて問題ない場合と、早急に歯科医院を受診すべき場合があります。


歯茎に痛みが起きる原因は?
歯を支える歯茎ですが、ちくちくと痛みが起こったり、いつもより赤くなっていたり、腫れてブクブクした状態になることがあります。歯茎にこれらの不快な症状を起こす原因とは一体どんなものがあるでしょうか?

①歯周病
歯茎の病気といえば、一番心配されるのは歯周病ではないでしょうか。歯周病が悪化すると、歯茎の下にある歯槽骨が溶けてしまうため、歯がぐらぐらしてきます。そのため、食べ物を噛んだ際や、会話で歯と歯が噛み合う場合に痛みが発生します。進行がまだ初期である段階ではまだ歯がぐらぐらすることはありませんが、何となく歯茎がチクチクする、ムズムズするといったかゆみのような痛みを感じる方が多いです。

②根尖性歯周炎
根尖性歯周炎とは、歯の根っこの先に感染が広がった状態です。原因は、虫歯や歯周病によって起こり、歯の神経は死んでしまいます。この場合には激しい痛みはありませんが、歯磨き時や食事、会話で歯が咬み合う場合に、じんわりした痛みや違和感を感じます。

③歯根破折
歯根破折は、お口の中をご自身で覗いても、歯がかけた様子がなかったとしても、小さな亀裂が入ってしまい、そこから感染が歯茎に広がった状態です。レントゲンを撮ったり、実際に歯を抜いたあとに折れていることがわかることもあります。

④智歯周囲炎
一番奥に生える前から数えて8番目の歯を親不知、智歯と呼びます。顎の大きさによって、お口の中でまっすぐに生えることができない方がいます。その場合、歯の頭を横にして、前から数えて7番目の歯を押すように、半分歯ぐきの下に隠れた状態で生えることが多いです。このようなケースでは歯の清掃が難しいため、歯ぐきが炎症を起こし痛みを感じることがあります。

⑤食片圧入
繊維質なものやお肉などを食べたときに、歯と歯の間にものがつまることがあります。この場合には、歯と歯の隙間が押し広げられるので、痛みというよりは違和感を生じます。歯ブラシや歯間ブラシ、糸楊枝などで除去することができます。

⑥口内炎や火傷
口内炎は、体調不良やつかれが溜まっているときに経験をしたことがあるのではないでしょうか?特に、アフタ性の口内炎と言われるものでは、口内炎の真ん中の部分がえぐれたような形状になるため、痛みが強く現れます。口内炎は頬の内側や舌などにできるイメージが強いかもしれませんが、歯ぐきにもできます。熱いものを食べた際のやけどにも注意が必要です。歯ぐきが火傷した場合にはヒリヒリとした痛みが生じます。

⑦感染症
歯ぐきに痛みを感じる病気として歯周病については説明いたしました。歯周病も感染症の1つです。歯周病よりは患者数は少ないですが、お口の中に白いべっとりとしたものがついている場合には、カンジダ菌の感染が疑われます。この場合にはちくちくしたような痛みを症状とすることが多いです。


 

☆歯ぐきが痛いときのセルフケア

歯ぐきに痛みを生じたとき、ご自宅でできることについてご紹介します。
 

・刺激のある食べ物、飲み物を避ける
お口の中に痛みがある状態で刺激物を避けるのは自然なことで、当然のように行っている重いことと思います。注意すべきはキムチなど辛味の強いものや、カレーやエスニック料理など、香辛料が豊富なもの、その他に柑橘類などフルーツにも注意が必要です。オレンジジュースやグレープフルーツジュースも、口内炎などで痛みが強いときには刺激になるのでご注意ください。

・口腔内を清潔に保つ
歯ぐきに痛みがあると歯ブラシをするときぶつかりそうで心配になるかもしれません。しかし、お口の中に菌が多くなると、炎症も強くなり、より感染しやすい状態です。お口の中はいつもと変わらずに清潔に保つことが大切です。アルコールなどが添加されたマウスウォッシュは刺激になることがあるのでご注意ください。

・市販の軟膏を塗布する
ドラッグストアには口内炎用の軟膏やパッチが販売されています。ご家庭に常備してもいいかもしれません。夜に痛みがあって気になって眠れないときなどは、ひとまず市販の軟膏を塗って様子をみてみましょう。


歯ぐきの痛みがあった場合には、普段歯科医院に行かない方でも定期検診を兼ねて歯科医院を受診してみましょう。歯ぐきが痛みを起こす原因を7つ程ご紹介しましたが、いずれも歯科医院での治療が有効です。特に、歯周病や根尖性歯周炎の場合には、痛みがおさまったように感じても、そのまま治療を受けない限りは自然に治ることはありません。また、歯根破折や智歯歯周炎の場合には、感染源となる破折した歯や埋伏して生えている親知らずを抜くことが根本的な治療となります。歯ぐきが痛いだけなのになぜ抜くの?と驚かれるかもしれませんが、感染源となる弱った歯を取り除いたり、清掃状態の悪い歯を抜いてしまうことでお口の衛生状態を向上することができます。食片圧入についても歯科医院での検査が必要です。歯周病により歯が動いているケースや、かぶせものの不適合など治療が必要なケースがあります。口内炎や火傷は数日で痛みが治まる場合には通院の必要がないかもしれませんが、食生活に気を配り、バランスの良い食事や睡眠を十分にとりましょう。



【まとめ​​​​​​】
歯ぐきの痛みといえば歯周病のイメージが強いのではないでしょうか?歯周病の他にも、根尖性歯周炎や歯根破折、智歯周囲炎といった、歯に原因がある場合もあります。その他に、口内炎や火傷といった食生活の乱れや睡眠不足など、生活に関連する原因も考えられます。むし歯のケア同様に、歯ぐきも歯科医院にて定期検診を受けてみましょう。
 

2023年07月12日 10:37

口腔習癖について

口腔習癖とは、お口から喉までの部分に対して無意識に繰り返し行う癖をいいます。
口腔習癖には下記の種類があります。
母指吸引癖(ぼしきゅういんへき)・指しゃぶり:おしゃぶりの常用、物を噛む癖
舌突出癖(ぜつとっしゅつへき):舌を前に出す癖
吸唇癖(きゅうしんへき)、咬唇癖(こうしんへき):唇を吸う、唇を噛む癖
口呼吸:通常は鼻呼吸ですが口で呼吸をしてしまう癖
咬爪癖(こうそうへき):爪を噛む癖
態癖(たいへき)日常生活の中で無意識に行う色々な癖
これらを長期に渡って行っていた場合、歯並びや顎の成長に影響を与えて不正咬合などになってしまうことがあります。
今回は具体的にそれぞれの口腔習癖がどのような影響を及ぼすのか紹介します。

【母指吸引癖、おしゃぶりの常用、物(タオル、毛布、鉛筆、爪など)を噛む癖】
指しゃぶりを続けていると、「開咬」や「出っ歯」、「交叉咬合」などになることがあります。
これらの症状の現れ方は、指しゃぶりの期間や、回数、吸う強さ、指しゃぶりをしやすい顎の形をしていること(遺伝的要因)などによって個人差があります。また、おしゃぶりの常用や、もの(タオル、毛布、鉛筆、爪など)を噛む癖も、歯並びや顎の成長に悪影響を与えることがあるとされています。これらの癖は、3歳頃までならあまり問題ないとされていますが、4歳を過ぎても続いてしまうと歯並び、顎の成長に影響を及ぼすことが考えられています。
4歳以降も続く場合は積極的に止めさせる方が良いでしょう。

【舌突出癖(舌を前に出す癖)】
口を開けて上下前歯の間に舌を挟んだり、歯を舌で裏側から押しつけたりする癖を、舌突出癖と言います。
口呼吸や指しゃぶりを長く続けていると、開咬や出っ歯、受け口などになることがあります。
この癖を行うと舌の先端がやや前方で低い位置にあるため、歯の間から舌が見え隠れしたり、発音が不明瞭になったり、食べる時に音を立ててしまったりするなど日常生活に影響が出ます。

【吸唇癖・咬唇癖(唇を吸う、咬む癖)】
吸唇癖・咬唇癖()はストレスによって起こったり、指しゃぶりの代わりに現れたりすると言われています。
この癖は、下の唇を噛んだり吸ったりすると出っ歯に、上の唇を噛んだり吸ったりすると受け口になることがあります。

【口呼吸】
口呼吸をしている人は、長時間お口を開けっぱなしの状態が続きます。
そのため、常に下顎と舌の位置が下がっている状態になり、お口の筋力や顎の成長・発育に悪い影響を与え、顎の幅が狭くなったり、前歯が出やすくなったりしてしまいます。また、口呼吸は、お口の中が乾燥して細菌が繁殖しやすくなり、虫歯や歯周病になりやすくなるだけでなく、体内に細菌が入りやすいために免疫力の低下の原因ともなります。

【態癖(日常生活の中で無意識に行ういろいろな癖)】
態癖は、頬杖、横向きに寝る、うつぶせに寝る、食事の際に左右どちらかで噛む、テレビを見る時の姿勢などがあります。
これらを続けていると、針金やゴムの力で歯を動かす歯列矯正よりも強い力が作用し、歯列が乱れて噛み合わせが悪くなることがあります。
態癖は意識して改善すると良いでしょう。

【不正咬合について】
不正咬合とは、歯並びや噛み合わせが悪い状態のことを言います。口腔習癖が原因で不正咬合となる場合の主な歯並びは以下です。
・開咬:奥歯を噛んだ時に上下の歯が開いて噛み合わない状態
・交叉咬合:上あごの歯列の幅が狭くなって上下の奥歯の噛み合わせがハサミのようにズレて噛み合わない状態
・出っ歯(上顎前突):上の前歯や上あごの歯全体が前に出ている状態
・受け口(下顎前突):下の歯が上の歯よりも前に出ている状態

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⇧左から 『開咬』、『交叉咬合』、『出っ歯』、『受け口』

このように口腔習癖を続けていると、歯並びや顎の成長に悪影響を及ぼすことがあります。
ご自身やお子様にこのような癖や習慣がみられる場合は、止めた方がいい理由を探し、説明してできるだけ自分自身で止めたいと思えるようになることが大切です。

2023年07月05日 14:45

歯科健診用語

☆歯科健診で用語のCってなに?
歯科健診でよく耳にするのが「シーオー」「シーワン」といった「C」と「数字」の組み合わせです。この「C」はcaries(カリエス)という英語の頭文字を取ったもので、いわゆる虫歯を示しています。そして「C」の次につくアルファベットや数字(1,2,3,4)は、虫歯の進行具合を示します。


・CО(シーオー)
一般に初期虫歯と呼ばれますが、厳密には虫歯ではなく虫歯になりかけている状態を意味します。とくに治療の必要はありませんが、そのまま放置すると虫歯(C1)へと進行してしまうため注意が必要です。歯磨きの徹底やフッ素の活用により、もとの健康な歯に戻すことができます。

・C1(シーワン)
歯の表面にあるエナメル質に発生した虫歯です。まだ小さい虫歯なので症状などはありません。エナメル質内の虫歯は痛むことやしみることがないので急いで治療することはありませんが、虫歯が象牙質に達すると進行していくので早期治療した方が良いです。

・C2(シーツ―)
エナメル質の下にある象牙質に進行した虫歯です。この段階になると歯に穴が空く、歯が黒くみえる、冷たいものがしみるなどの症状があらわれます。

・C3(シースリー)
象牙質の下の歯髄という歯の神経にまで進行した虫歯です。冷たいもの、熱いものがしみるほか、何もしなくてもズキズキとした痛みを感じやすくなります。

・C4(シーフオー)
むし歯によって歯のほとんどを失い、根っこでけが残った状態です。歯の神経が死んでいるため、痛みは感じません。治療では抜歯になるケースが多くみられます。


 
☆1や2などの数字の意味は?
「CО」や「C1」など、虫歯の程度をあらわす記号では、その直前に「1番」「5番」「B」といった数字やアルファベットがつけられます。これらの数字やアルファベットは、それぞれの歯の名称を簡略化したものです。まず永久歯は、親知らずをいれて32本、上下左右に8本ずつ生えており、それぞれに中切歯や第一大臼歯、第二大臼歯などの名称がついています。しかし、口頭やカルテに記入する際の手間を省くため、前方から1~8の数字で呼ぶのが一般的です。たとえば、1番手前にある中切歯は1番、前から4番目にある第一小臼歯は4番となり、これが右上の中切歯であれば右上1番となります。したがって、「右上1番C1」と歯科医師が言えば、それは右上の中切歯にC1レベルの虫歯があるということになります。これと同様に、乳歯の場合は全歯20本、上下左右に5本ずつあり、前からAからEのアルファベットをあてて呼んでいきます。
 
☆斜線やバツの記号の意味は?
小・中・高で実施される学校検診では、上記のものとは別に「マルО」や「斜線/」といった記号があります。

・斜線(/)健全歯、現在歯
現在生えている乳歯、永久歯、または虫歯や初期虫歯(CО)がない歯

・シーオー(CО)要観察歯
見た目上は虫歯ではないが、生活習慣などに問題があり、そのまま放置すると虫歯になる恐れがある歯

・シー(C)未処置歯
虫歯があり、治療が必要な歯

・マル(〇)処置歯
すでに虫歯の治療をしている歯、または現在虫歯を治療中の歯カク

・サンカク(△)喪失歯
虫歯が原因で失った歯(乳歯には使用しない)

バツ(×)要注意乳歯
残すか否かを慎重に判断する必要のある乳歯

ジーオー(GО)歯周疾患要観察者
歯肉炎が認められるが、歯石がついておらず適切なブラッシング等で改善が見込まれるもの

シ/マルシ シーラント処置歯
咬む面の溝にシーラントという虫歯予防処置がおこなわれている歯



学校検診では、この他に歯列・咬合・顎関節の状態や歯肉の状態をそれぞれ0,1,2の3段階で評価していきます。
以下のように、歯科健診では現在の歯の本数や個々の歯の虫歯、歯周病の状態、さらに噛み合わせや顎関節、清掃状態などをチェックします。記号の意味をあらかじめ知っておくと、日ごろのケアに役立てやすいでしょいう。


 
2023年07月05日 11:12

親知らずが痛くなる理由

【親知らずとは】
一般的に親知らずと言われる歯は、専門的に第3大臼歯や智歯(ちし)と呼ばれ、真ん中の前歯から数えて8番目の奥歯の位置にあります。
英語では「wisdom tooth」と呼びます。wisdomとは知恵や分別を指し、知恵や分別がつく年齢になってから生える歯という意味です。
日本では親が知らないうちに生える歯と呼びますが、意味は近いですね。
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【親知らず発達の流れ】
歯は歯胚という小さな歯の卵の状態で歯茎の下にある顎の骨()の中で成長します。
成長しきると歯は生えますが、親知らずの場合10歳前後に顎の骨の中に歯胚として発育し15歳頃に生える人や、20歳過ぎてから生える人もいます。
乳歯から永久歯に生え変わる時に、生える()順番がありますが、親知らずは最も遅く生える歯です。
場合によっては、先天的な遺伝などで全く生えない先天性欠如の人もいます。

【親知らずの昔と現在】
クロマニョン人などの昔の人類は、現代の人類に比べて、固い木の実などの咀嚼力が必要な食べ物を食べていました。
そのため、しっかりと上下で噛む回数が増え発達し、広さのある顎に発達していた状態でした。
親知らずも、通常の奥歯として使用していたと記録にあります。ところが近年は加工技術の進化に伴い食生活の変化が起こり、柔らかい食べ物が増えて、食事の際に噛む回数が減っていきました。
それにより顎が狭くなり、親知らずの生えるスペースがない人が多いです。
・隣接する歯によりかかるよう斜めに生えてきた
・噛み合わせる歯の表面(歯冠)が半分だけ歯肉に隠れて生えてきている(半埋伏歯)
・親知らずは生えてきていないと思っていたが、実は歯肉の中に横向きに隠れている(埋伏歯)


【注意】
埋伏歯にも水平に埋まっている水平埋伏智歯、逆さ向きに骨に埋まっている逆性埋伏智歯など様々な種類があります。
下の顎(下顎)に埋伏歯が埋まっていると、神経や血管が中に走る重要な下顎管に障ってしまうというリスクがあります。

【抜歯が難しい「親知らず」例】
・斜めに生えていて、一部が露出している
・水平埋伏(横向きに埋まっている状態)
・歯根の形の異常(歯根湾曲、歯根肥大)
歯根湾曲:歯の根はほとんど真っすぐに近いのですが、先端に向かうにつれて曲がっていることがあります。カーブのように曲がっていたり、一本だけ片足を上げるように曲がっていたり、交差していたりすることがあります。
歯根肥大:足が太っている歯のことを言います。足全体が太っていたり、先端に向かうにつれ太っていたりします。

【噛むと痛い症状がある】
なにもお口に入っていない状態ならば痛くないのに、食べ物を噛むときになると親知らずが痛むケースではどうするのか。
親知らずが真っすぐ綺麗に生える人は少ないです。斜めや、半分歯肉に埋まった状態で生えてくると奥歯に重なりが生まれたり、清掃しにくい部分が生じます。毎日歯ブラシで歯磨きをしていても奥歯の位置を綺麗に磨くのは難しいです。
①食べかすや歯垢(プラーク)が歯の表面に付着する
②歯垢の除去ができなければ、歯垢は唾液の中の物質と結合し、歯石になる
③歯石はクリーニングしなければ取り除けない
④歯周病などの原因になり、奥歯の親知らずが細菌感染を起こしてしまう

【智歯周囲炎や虫歯による痛み】
親知らずの周りに炎症が起きる状態を智歯周囲炎と呼びます。
智歯周囲炎や智歯の虫歯では下記のような症状が起きやすいです。
・奥歯の歯茎から口臭がする
・親知らずで噛むと痛む
・頬や歯茎が腫れている
・口を閉じるときに奥歯が当たると痛い


【その他の原因による痛み】
・上下の歯を噛み合わせたら違和感や痛みがある
上の顎(上顎)だけ親知らずが生えてきて、下に噛み合わせる親知らずが無い人もいます。
そのため、噛むたびに舌の歯茎や粘膜を傷つけるトラブルになります。
・口を大きく開けるのが辛い
下顎には、筋突起という関節の突起があります。
筋突起はお口を閉じる閉口運動に関係するため、親知らずが生えてその筋突起に障ると大口が開けづらい状態になります。
・親知らずが萌出する際に痛みを感じる
親知らずが生えるスペースが無ければ、隣や前の歯を押して親知らずが出てこようとするからです。


 
2023年06月28日 09:55

歯茎のできもの

健康な歯茎はきれいなピンク色をしていますが、何らかの理由で白や赤色を帯びたできものが生じることがあります。歯茎のできものといえば、まず口内炎が頭に浮かぶと思いますが、それはもしかしたら「フィステル」かもしれません。フィステルは口内炎よりも厄介なものなので、しっかりとした治療が必要になります。今日はそんな歯茎のできものの正体の、原因や治療法についてお話します。


歯茎にできものができたら、まずは位置を確認してみてください。例えば、食事の際に食べ物が当たるような部位に生じたのなら口内炎が疑われますが、歯根の先端付近に生じたニキビのようなできものは、フィステルの可能性が高いです。フィステルとは「サイナスクラフト」、「瘻孔」とも呼ばれるもので、ニキビのように腫れるだけでなく痛みを伴うこともあります。また、たまった膿が小さな穴から排出されているのも、フィステルの特徴的な症状の1つとも言えます。このフィステルは、口内炎とは根本的に異なるものなのでご注意ください。


 
☆フィステルができる原因
 

①神経にまで達している虫歯
虫歯がエナメル質から象牙質、さらには歯の神経にまで進行すると、歯髄に感染が起こります。 その結果、歯髄が腐り、汚染物質や細菌が歯根の先端の「根尖孔」という細い穴から漏れ出てフィステルを形成することがあります。

②根管治療後に再び細菌感染した
スペースが残っていたり、感染物質が残っていたりなど、根管治療がきちんと行われていない場合は、歯根部分で再び細菌が繁殖を起こして膿がでるため、フィステルが形成されます。

③精度の低い根管治療
重症化した虫歯では、歯の根の中をきれいにお掃除する根管治療が必要になりますが、その処置の精度が低いと病原体の取り残しが生じ、フィステルを形成する原因となることがあります。 根管というのはとても狭く、暗く、複雑な構造をしているため、勘に頼った治療になりがちです。

④外傷
スポーツをしているときや道端で転んだ拍子に歯を強打した際、後々フィステルが形成されることがあります。 これは、強い衝撃によって歯の神経に炎症が生じた結果です。 一見すると歯はなんの損傷も受けていないのですが、神経と血管で構成されている歯髄には炎症が起こり、なにもせずそのまま放置することで、細菌感染が生じるケースもあります。 そうすると、虫歯を重症化したときと同じようなフィステルを歯茎に形成します。

④歯根破折
歯の根が折れる歯根破折がフィステルの原因になることもあります。 歯根が破折する原因としては外傷がまず挙げられますが、意外に多いのが「不適切な補綴物」です。 特に、太いメタルコアなどを設置した被せ物では歯根にくさび状の圧力が働きやすく、歯根破折のリスクが高まります。 噛む力が強い、歯ぎしり、食いしばりの習慣がある場合も、歯根破折に要注意です。


 

☆フィステルを放置すると起こる症状

フィステルは歯茎のできものであると同時に、瘻孔と呼ばれる穴でもあるので、溜まった膿は定期的に排出されます。 そのため、一時的に症状が自然と改善するので、放置していると症状がどんどん悪化していきます。 なぜならフィステルの原因は、膿が排出されている部分ではなく、感染した根管やその周囲にあることがほとんどだからです。 つまり、根本的な原因を取り除かずにフィステルを放置すると、痛みや腫れといった症状が強くなるだけでなく、最終的には原因となっている歯の抜歯をせざるを得なくなることがあります。


 

【フィステル治療法】

歯茎に膿が排出される穴を形成するフィステルは、次のような治療法で改善できます。


①根管治療
歯の神経にまで達した虫歯を治療する方法です。 根管治療をしっかり行えば、歯茎の腫れや炎症、フィステルの症状を改善、あるいは予防をすることも難しくありません。 歯の根の治療を行った後は、土台を作って被せ物を装着します。

②歯根端切除術
歯根端切除術とは、歯の根の方からアプローチしてフィステルの原因となっている細菌や汚染物質を取り除く治療法です。 歯根の先端部分が細菌感染し、膿が溜まっている場合は通常の根管治療では改善できない場合があります。 そのような場合は、歯茎を切開して溜まった膿の摘出と感染歯根を切除する歯根端切除術で症状を改善します。

③抜歯
歯根破折の場合は、状態や症状によって保存できる場合もありますが、ほとんどのケースで抜歯と診断されます。




口内炎くらいで歯医者に行かない、と考える方は多いですが、そのできものが口内炎でなかったとしたら取返しのつかないことになることもあります。 口腔内にできものを見つけたら、できるだけ早めに歯科医院を受診することをおすすめします。

2023年06月26日 10:17

くさび状欠損

【くさび状欠損(WSD)とは?】
くさび状欠損とは以下のイラストのように、歯がくさび形に削れてしまう病気です。
程度にもよりますが。歯がこのような状態になると冷たい物がしみやすくなる傾向にあります。
特に欠けている範囲が大きい場合は、周りを削って被せ物になってしまうケースも見られます。
稀なケースだと、歯自体がパキッと割れてしまうことや、神経を取り除いて根の治療が必要になるケースもあります。
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【くさび状欠損の原因】
くさび状欠損の原因としてあげられているのは、
①過剰な食いしばり・歯ぎしり
食いしばりや歯ぎしりによって、歯に横揺れが生じ、歯の歯茎側の部分に小さい欠けが生じます。
これはチッピングと言われることもあります。
②過度な歯みがき圧
過剰な歯みがきによりその欠けた部分を中心に削れていき欠けの部分の大きさが大きくなるのが原因です。
ではなぜ歯ぎしりによって欠けた部分だけが部分的に削れてしまうのでしょうか?
それは歯の構造に秘密があります。
歯の「エナメル質」「象牙質」この2つの構造が鍵になります。
簡単に、「硬いエナメル質」と「柔らかい象牙質」と覚えると良いでしょう。
歯ぎしりによって「エナメル質」にひびが入り、もろくなるのと同時に「象牙質」がむき出しになります。
そして「象牙質」は柔らかいので少しずつ歯磨きによって削れていきます。
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【くさび状欠損の症状】
知覚過敏のような症状がでます。
・空気や息が当たるとしみる
・歯磨きで歯ブラシが当たると痛い
・冷たい物や熱いものがしみる

【くさび状欠損の治療】
・知覚過敏専用の薬剤を塗布したり、フッ素で歯質を強化したりする
・歯質(エナメル質、象牙質など歯をつくる成分のこと)が大きく欠損し、虫歯のリスクが高い場合にはコンポジットレジンをもって欠損部を重鎮、修復する
コンポジットレジン:歯の色によく似ている白いプラスチック素材のつめもの、虫歯治療の詰め物としても使用されます。
・削れている部分が歯髄(歯の神経)に近い場合には、根管治療(神経の治療)を行う
そしてこれらの治療と並行して、そもそもの原因を取り除く必要があります。セルフケアの見直しとして歯ぎしりによる歯のダメージを軽減するために、就寝時にマウスピースを付けたり、日ごろから上下の歯をくっつけないように意識するなどの努力が必要です。
また、歯質への負担を少しでも軽減するため、粗い研磨剤入りの歯磨き剤の使用を避けたり、正しいブラッシング法を身に着けることも大切です。
なおくさび状欠損は自然治癒することはありません。
欠損した歯は放っておいて回復することはないのです。ゆえに進行度に応じた適切な早期治療が必要です。
2023年06月24日 14:29
医院名
住所 杉並区阿佐谷北1-31-12-102
電話番号 03-3336-8004
 
午前診療
  9:00~13:00
午後診療
14:30~19:30
□・・・19:00まで、▲・・・16:30まで

診療科目

  • 歯科
  • 小児歯科
  • インプラント
  • 矯正
  • 口腔外科

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