麻酔が効きやすい人と効きにくい人に違いがあるのか
麻酔が効きやすい人と効きにくい人には違いはあるのか?今回は歯の治療で多く使われる麻酔についてお話します。
【歯科の麻酔について】
歯の治療においてよく使われる麻酔。使う麻酔薬は同じでも、よく効く人と効きにくい人がいます。
何に差があるのでしょうか?
虫歯の治療をおこなう際に単に麻酔をするといっても、実は歯医者さんは針を刺す部位を微妙に変えているのです。
歯ぐきに麻酔の針を刺すということに変わりはありませんが、歯ぐきのどこに針を刺すのかということです。
【麻酔の効果はどの部位の治療をおこなうかによってちがう】
麻酔が効きやすい、効きにくいの違いは治療をする部位によって差があります。
つまり、上の歯なのか下の歯なのか、前歯なのか奥歯なのかということです。
下の歯より上の歯の方が麻酔が効きやすく、奥歯よりも前歯のほうが麻酔が効きやすいのです。
麻酔の効きやすい順番は以下の通りです。
上の前歯→上の奥歯→下の前歯→下の奥歯
【麻酔の効果は骨の質によって違う】
歯科医院で使う麻酔は浸潤麻酔といって、麻酔薬が歯茎やあごの骨にしみこんで効果を発揮します。
骨は2層になっていて、表面は緻密で硬い皮質骨、中の方はすう疎な海綿骨でできています。
当然、硬い皮質骨は麻酔薬が浸透しにくいため、この皮質骨が厚い場合は麻酔が効きにくいかもしれません。
先ほどの上の歯より下の歯のほうが麻酔が効きにくいというのは下顎の骨のほうが上顎の骨より皮質骨が厚く、骨の密度も下顎のほうが高い傾向にあるというのがその理由です。
歯の神経は顎の骨の中を通り、歯の根っこの先から入り込んでいます。
そして歯は顎の骨の中に埋まっていますので、骨の外から麻酔を効かせようと思うと骨が厚いほど緻密であるほど麻酔が効きにくいということです。
【麻酔の効果は症状(炎症)の度合いによって違う】
麻酔を使うタイミングは症状が強くて麻酔をしないと治療ができない場合と、抜歯や虫歯のように今は症状は強くなくても治療の際に強い痛みを伴う場合とがあります。痛みがある場合は強い炎症を伴っている場合で、痛みがないときは炎症は弱い場合ですが組織が炎症を起こしているとき、組織は酸性に傾いています。麻酔薬はアルカリ性で炎症を起こしている酸性の組織に麻酔薬を作用させてもそれが中和されてしまい効果が薄れてしまうのです。
炎症が強いほど酸性に傾いていて、麻酔が効きにくくなってしまいます。
「親知らずが痛くなって腫れているので抜歯してほしい」という患者さまも多くいらっしゃいますが、炎症が強い場合には最も麻酔が効きにくい状況なのでその日に抜歯することはやめましょうと言うこともあります。
その場合はお薬を処方して炎症が収まってから抜歯を行います。