歯の硬さ
食べ物を噛み砕いたり、全身を支えたり、歯には大きな力がかかっています。そんな力に耐えている歯は、どれだけ強いのでしょうか?歯は体の組織の中で最も硬く、鉄より硬いと言われています。
【歯の表面のエナメル質はモース硬度7】
物の硬さを表すのに、モース硬度という指標が使われます。10段階で表され、数が大きいほど硬いことを意味します。
身近なもので言うと、下記の通りです。
モース硬度1:チョーク モース硬度6:オパール
モース硬度2:岩塩・純金 モース硬度7:歯のエナメル質・水晶
モース硬度3:サンゴ モース硬度8:エメラルド
モース硬度4:鉄・真珠 モース硬度9:ルビー・サファイア
モース硬度5:ガラス モース硬度10:ダイヤモンド
歯はエナメル質、象牙質、セメント質で形成されていますが、最も硬いのが一番外側にあるエナメル質です。
モース硬度で表すとこのようになっています。
・歯のエナメル質(最表面の層):モース硬度7
・歯の象牙質(内部の層):モース硬度5.5
骨はモース硬度4に分類されるので、歯のエナメル質は体の中で最も硬く、鉄やガラスより硬いことが分かります。
「それなのにどうして虫歯になるのでしょうか?」疑問が湧きます。
その理由は、歯は酸に弱いからです。結構な硬さがある歯も、虫歯が出す酸には弱いことから、比較的簡単に溶かされてしまうのです。
【硬い歯を削るのは、歯より硬いダイヤモンド】
虫歯菌に感染した部分を取り除く目的や、お口の中で詰め物を安定させるために、歯を削らなければらない時があります。
歯科医院で歯を削る時に使用されるのが、歯より硬いダイヤモンドです。
ダイヤモンドといえば光り輝く宝石のイメージですが、この世の中に存在する物質の中で、最も硬く、ガラスの切断などには、合成加工されたダイヤモンドが使われています。
歯科医院ではエアタービンという、空気の力で羽根を高速回転させる切削器具の先端にダイヤモンドの粉末を付けて、歯を削ります。
エアタービンの音を苦手に感じる方も多いかと思いますが、ダイヤモンドで削っていると分かれば、苦手意識もやわらぐかもしれません。とはいえ、どんなに硬い歯でも削れば脆くなります。削ることにならないように、定期的にメンテナンスを受けることが大切です。
【鉄より硬い歯も酸には弱い】
先ほども少しお話しましたが、鉄より硬い歯の弱点が「酸」です。
歯垢の中に存在する虫歯菌が、食べ物や飲み物に含まれる糖分と結びつき、酸を作り出します。
その酸が、エナメル質を溶かす状態を脱灰と言います。脱灰が続くと、どんどんエナメル質が溶けて歯の内部にまで進行していきます。鉄が錆に弱いように、歯もお手入れをしていないと穴があいてしまい、最終的に歯を失うことにもなりかねません。
歯を酸から守るためには、虫歯菌などの細菌の塊といえる歯垢をためないことが重要です。毎日の丁寧な歯みがきと、歯科医院での定期的なクリーニングを受けましょう。そうすることで、強くて丈夫な歯をキープして健康な毎日を送りましょう。