歯の治療を中断したら
みなさんは、歯が痛くなって歯科医院に通い始めたけれど「歯が痛くなくなった」「忙しくて行けない」「仮歯が入って噛みやすくなった」などの理由で治療を中断したことはありますか?
今回は治療を中断することで起こるトラブルについてお話します。
【根管治療(根っこの治療)を中断すると】
細菌や腐敗産物で汚れた根管 (歯の神経が入っていたところ)を清掃、消毒し、薬で隙間なく封鎖する処置が根管治療です。
この根管治療を途中でやめてしまうと、根管内が再び細菌に感染したり、口腔内の汚れで汚染されてしまいます。
根管治療では神経に到った膿を少しずつ取り除いた後に神経の代わりとなるお薬を入ていく処置のため他の治療に比べて、虫歯の度合いによって歯は通院回数も多く長くかかる治療です。そしてそのまま放置しておくと、根の先にできた病巣(根尖病巣)が多きくなってしまったり、虫歯が根の方に侵攻してしまい、本来なら、抜かなくても良い歯も抜くことになってしまいます。また、根の周囲が膿んで強い痛みがでたり、大きく腫れたりすることもあります。しっかりと最後まで治療を受けないと更に病気を進行させる結果になってしまいます。
【削って型をとって1~3ヶ月そのままにする】
むし歯などで歯を削ったあとは、クラウンやインレー、ブリッジなどの詰め物を作るために型をとります。
その型を元にして補綴物を製作するのですが、通常1週間以上程度の製作期間が必要です。
できた補綴物は患者様1人1人に合わせて作ったオーダーメイドのものです。
また、適合性は非常に精密にできており歯との隙間が生じないようになっています。
そのため型をとってからあまり多くの日にちが経ってしまうと、装着時に調整が大変だったり、入らなくなってしまう場合もあるので注意が必要です。
さらに長時間放置すれば、再び虫歯になってしまったり、歯並びや噛み合わせに狂いが出てきてしまいます。
型をとった次回の診療は必ず来るようにしましょう。また、長時間放置してしまった場合でもできるだけ早く受診するようにしましょう。
【仮歯のまま放置する】
一時的に見た目が元に戻るのが、プラスチック状の樹脂などで歯に被せ物を作る仮歯です。
完成後の形態や見た目の回復の為に作製されますが、長期間の使用にたえることはできません。
仮歯は時間が経過すると次第に擦り減ってしまうことにより、隙間から虫歯になったり、噛み合わせが変化したりします。
再度治療をはじめたときに、また虫歯の治療をやり直したり、新たに土台の歯を削り落としたりしないといけなくなることもあります。
仮歯はあくまで仮の歯ですので、ガム、飴、おもちなどひっつきやすい食べ物は仮歯が外れる原因となりますので、お控えください。
また仮歯が外れたり、欠けたりした場合は捨てずに歯科医院を受診しましょう。
【抜歯後に放置した場合】
失った歯を噛み合う相手の歯が、噛みあう相手の歯が失われたために、空いたスペースに向かって伸びてきます。
これを挺出と言います。上下の歯はそれぞれしっかりと噛み合う相手の歯があるのが正常な状態ですが、相手の歯が失われると接触する歯がないため、そのまま伸びてきてしまいます。その場合には歯が伸びるのではなく、骨の中に埋まっていた歯の根の部分が出てきますのでその状態になってから元に戻すことは大変むずかしくなります。
また、失った噛み合う歯の両隣の歯が傾いてきます。歯を失うと、歯と歯の間に一本分の隙間ができてしまいます。
両隣の歯は徐々にそのスペースの方に動いて傾いてきます。
そのまま放っておくと、両隣の歯が斜めに傾いてしまい、失った歯の部分にインプラントや入れ歯をしようと思っても両隣の歯が傾いてスペースを塞いでいますのでうまく治療ができなくなってしまうので注意が必要です。