唾液の減少の理由と対策
「唾液が少なくて口の中が渇く」こんな悩みを持っている方は多いのではないでしょうか?唾液が少ないと、口臭の原因になったり、むし歯や歯周病の原因になってしまうなどのデメリットが挙げられます。では、どうして唾液が少ないという状態に陥ってしまうのでしょうか?今回は唾液が少ない人の10の特徴と唾液を増やす対策方法についてご紹介します。☆唾液が少ない人の10の特徴
唾液が少ない状態、いわゆるドライマウスになってしまうのには様々な要因が挙げられます。ここでは唾液が少ない10の原因とその対策についてわかりやすく整理していきます。①口呼吸
鼻炎や花粉症などで鼻が詰まると、呼吸をするために自然と口呼吸になり、唾液が少ない口の中が乾燥する症状を引き起こします。鼻呼吸の場合、空気は多くの壁に仕切られている副鼻腔を通るため、乾燥しにくい構造となっているのですが、口呼吸をしていると口腔内の粘膜が空気に触れるために唾液が渇きやすくなってしまうのです。
【対策】
口呼吸が癖になっている方は鼻呼吸に替えるトレーニングが必要です。口呼吸そのものの原因が鼻の病気であれば、その病気治療が根本的な解決策となります。歯並びが原因である場合には、矯正含め歯科医院で相談してみましょう。
②過度なストレス
唾液の分泌をコントロールしているのは自律神経ですが、緊張状態や過度のストレス、イライラ、悩みを抱えることによってこのバランスが崩れてしまい、交感神経が優位に働くことで、粘つきのある唾液が分泌されるようになります。唾液の量自体も減少してしまうため、口の中が渇いた状態になってしまうのです。
【対策】
唾液の量を増やすにはストレスの原因を取り除くことが1番の対策方法ですが、現代社会においては多かれ少なかれ誰でもストレスは抱えているものです。軽い運動や趣味などでリラックスしながら気分転換を図り、ストレスを上手に発散することを意識しましょう。
③咀嚼が少ない
唾液は嚙むことによって唾液腺周辺の筋肉が動き、唾液腺が刺激されて分泌を促進します。ところが、あまり噛む必要のない柔らかい食べ物ばかり食べていたり、よく噛まないで食事をしていたりすると、唾液の分泌が鈍くなり、徐々に唾液が少なくなってしまいます。
【対策】
噛む回数が少ない場合には、意識して噛む回数を増やすことが重要となります。食事するにも忙しくてなかなかゆっくりと時間がとれず。咀嚼回数を増やせないという方は日常的にガムを持ち歩いて口の渇きを感じたときに噛むなどして唾液の分泌を促しましょう。糖分が気になる方はシュガーレスのものを選ぶのがおすすめです。
④タバコを吸う
タバコに含まれるニコチンは体内の血管を縮小させて血行を悪化させ、唾液の分泌機能を低下させます。喫煙者の口臭がきつくなりやすいのは、タール(ヤニ)のにおいの他、唾液が少ない状態に陥ることも原因の1つとして挙げられます。
【対策】
もちろん禁煙することが最良の方法ではありますが、愛煙者にとっては禁煙自体が少なからずストレスに結びついてしまうため、無理のないように徐々にその方向に向かっていくことが大切です。タバコを吸ったあとはこまめに水分をとり、飴やガムを口にして唾液を増やすことを心がけましょう。
⑤アルコールの飲みすぎ
アルコールを摂取すると、尿や汗と一緒にアルコールを体外に排出しようとする利尿作用が働きます。また食事量や水分量が不足しがちになるため、脱水症状を引き起こしやすくなります。飲酒によるアルコールの過剰摂取も体内の水分バランスが崩れて口腔内の唾液の減少を招く原因の1つなのです。
【対策】
日頃からお酒を飲む習慣のある方はお酒の量を控えることが1番ですが、飲み会やお付き合いなどでどうしてもアルコールを飲まざるを得ないという場面も多いものです。お酒をのむシチュエーションでは水も一緒に飲むと脱水症状を避けて、唾液が少ない状態にならずに済みます。
⑥加齢
年齢を重ねていくと、口周りの筋肉や歯の力が衰えて噛む行為が困難になり唾液が分泌されにくくなってしまいがちです。また、高齢になると徐々に猫背になりますが猫背は呼吸を浅くさせて口呼吸を引き起こします。
【対策】
年齢による老化現象に抗うことは困難ですが、普段の食事から可能な限り噛み応えのある食品の摂取に努める、背中が丸くならないよう意識して良い姿勢を保つことが重要です。
⑦薬の副作用
年齢を重ねれば持病などで薬に頼らざるを得ないこともありますね。昨今では花粉症などに悩まされる方も多いのですが、服用する薬によってはその副作用により唾液が減ってしまうことがあります。例えば、高血圧の薬や鎮痛剤、抗うつ剤、あるいは花粉症の治療に使用される抗ヒスタミン剤なども口の中を乾燥させる原因になると言われています。
【対策】
自己判断で薬の服用を止めることは大変危険です。病気の種類によってはどうしても服用せざるを得ない場合もあるため、かかりつけの医師に口の渇きに対する症状をしっかりと説明し、薬の量や種類について相談しましょう。
⑧水分不足
正常な大人の唾液分泌量は1日約1.5リットルと言われています。つまり、それだけ水分を補給することが大切なわけですが、この水分補給を怠ることで唾液の減少に繋がってしまいます。ダイエットなどで無理な食事や水分摂取の制限を行っている方は特に注意が必要です。
【対策】
唾液の減少は口の中が渇いてしまうことによるものです。できれば、唾液が少ないと感じる前に普段からこまめに水分補給をして唾液の分泌を促進させることが望ましいでしょう。
⑨話す機会が少ない
営業職や接客業とは異なり、中には仕事柄、もくもくと仕事をこなしていくような日常的に喋る機会が少ない職種の方も多いのではないでしょうか?喋る機会が少ないということは、口や舌を動かす機会も少ないということになりますので、唾液のスムーズな分泌が難しくなってしまいます。
【対策】
日常的に人と話す機会を作り、おしゃべりで口を動かして唾液の分泌を促すよう心がけましょう。そのほかの方法としては、空き時間にできる舌を使ったベロ回し体操で唾液分泌の促進を図るのも効果的です。
ベロ回し体操のやり方
1.口を閉じ歯に沿って右周りに舌をまわしていきます。
2.右回りがおわったら次は左回りに歯に沿って舌をまわしていきます。
3.最初の回数は無理をせず、10回を目標にしだんだんと回数を増やしていきましょう。
⑩ファストフードやカフェイン飲料の摂取
手間をかけることなく買ってきてすぐに食べられるファストフードは便利なものですが、ファストフードはあまり噛むことなく食べられてしまうため、唾液の減少を招きます。またカフェインを含む飲料の飲みすぎも、カフェインの利尿作用により体内の水分量を低下させ、唾液が減少してしまいがちになります。
【対策】
基本的には咀嚼回数を増やすことが重要であるため、ファストフードをよく食べる方はしっかりと噛み応えのある食事にシフトチェンジしましょう。普段からコーヒーなどのカフェイン飲料を好んで飲んでいる場合、ノンカフェインの飲み物に替えるか、水分補給をまめに行うことが大切です。
唾液の減少にはさまざまな原因が挙げられますが、ご紹介した唾液の減少で考えられる10の原因に当てはまらない場合は病気が原因であることも疑われます。
唾液が少ない症状で想定される病気は?
・糖尿病 ・シェーグレン症候群中でも唾液の減少が顕著な症状として現れるのがシェーグレン症候群です。自分の身体にも過剰に反応して攻撃してしまう自己免疫疾患のひとつであるシェーグレン症候群は、主に唾液腺や涙腺に障害を起こし、乾燥症状を招く病気です。年齢は50代をピークに圧倒的に女性に多く、その男女比は1:14と言われています。いくら改善策を講じても唾液の減少が治まらないという場合には、なるべく早く受診するようにしましょう。
2023年07月25日 16:11