問題のある親知らず
親知らずは抜くべきなの?と疑問に思う方がいるかもしれません。上向きに生えている親知らずは抜歯の必要がありません。抜歯するべきなのは生え方に問題のある親知らずです。そこで、『斜めに生えている』、『一部が埋まっている』など、生え方に問題のある親知らずについて解説していきます。
~斜めに生えている親知らず~ 不完全埋状智歯
親知らずは高確率で斜め向きに生えます。多くの場合、第二大臼歯(親知らずの1つ手前の歯)に向かって傾いたまま生えます。歯の一部が歯茎に埋まっていることもあり、その場合を不完全埋状智歯と呼びます。斜めで全体が歯茎から出ている親知らずと、斜めの不完全埋上智歯は、大体同じような口腔トラブルを引き起こします。【斜めに生えている親知らずによる口腔トラブル】
・第二大臼歯を圧迫し、歯並びが悪化する
斜めに向かって生えているということは、自然と隣の歯に力が掛かってしまいます。歯は同じ方向から継続的に押されると移動してしまうので、結果、第二大臼歯が手前に動いてしまいます。すると今度は、第二大臼歯が第一大臼歯を圧迫して連鎖的に歯が移動します。これが繰り返されて歯列全体が少しずつ動き、歯並びが悪化します。
・第二大臼歯を巻き込み虫歯になる
親知らずが第二大臼歯の方に傾いていると、親知らずと第二大臼歯の境目に隙間ができます。傾いたまま生えるということは、歯の上部が接触し、根元付近に隙間ができることを意味します。通常の歯ブラシでは隙間を上手く磨けないため、親知らずと第二大臼歯の間に歯垢が溜まり、虫歯になります。
~横向きに埋まっている親知らず~ 水平埋状智歯
横向きの親知らずが完全に埋まっている状態です。歯茎に埋まっているでけでなく、横向きのまま歯槽骨に固定されているのが普通です。全体が埋まっている歯を完全埋上歯といい、横向きで埋まっている親知らずは、水平埋状智歯と呼ばれています。浅い位置に埋状していたり、隣を圧迫しているケースは対処が必要になります。歯槽骨の深い位置で埋上している場合は、周囲に影響しないので放置してもよいことが多いです。
このように、口腔トラブルの原因になる親知らずは抜歯対象になります。症状、状況によって治療法・手順が異なります。
『虫歯や、第二大臼歯の圧迫を起こしている不完全埋状智歯の場合』
第二大臼歯を巻き込んで虫歯などのトラブルが起きた場合、抜歯になります。虫歯を治療しても、親知らずが斜めに生えているため磨きずらく、また虫歯になります。斜めの不完全埋状智歯は普通抜歯で対応できます。
『完全に埋まっている水平埋状智歯の場合』
表面に出てきていないため普通抜歯はできません。歯は生えている向きにしか抜歯できないため、親知らずを第二大臼歯が遮り、歯を引き抜きくスペースがなくなってしまいます。水平埋状智歯の抜歯は、以下の手順で行います。
①横向きの親知らずを目視で確認するため、歯茎を切開します。
②歯冠側、歯根側の2つに分けて割ります。(歯の上半分を歯冠、根元を含んだ歯の下半分を歯根と言います。)
③歯を分割して歯冠部を摘出します。
④第二大臼歯と親知らずの歯根側の間にスペースが生じ、その隙間を利用して歯根を手前に引き抜く
斜めの親知らず、横向きの親知らずは、隣接する歯を巻き込み問題を起こします。まっすぐ生えていないと気づいたら早めに受診することをお勧めします。