先天性欠損歯
☆知っておきたい先天性欠損歯
皆さんは人の歯が何本あるかご存じですか?乳歯列は上顎10本、下顎10本の合計20本です。永久歯列なら上顎に14本、下顎に14本の合計で28本あります。(親知らずを除く)
私たちは永久歯が生えてきたら28本もの永久歯を何十年もの長い期間使い続けることになりますが、この間に「むし歯」「歯周病」「歯が割れる」「歯科矯正のための抜歯」など、お口のトラブルや歯科治療によって歯を失ってしまうこともあります。ただ、皆が最初から永久歯の本数が28本存在するとは限りません。元々永久歯が28本に満たない場合もあります。今回は元から永久歯の数が足りない状態=先天欠如についてお話します。
【永久歯が生えてこない原因は?対策方法はあるの?】
【歯の先欠はどのくらいの確立で起こるの?】
2010年に日本小児歯科学会で行われた7歳以上の小児1,5544人を対象にした調査では、先欠は1568名でした。これは約10人に1人ですので決してまれではないことがわかります。先天欠如の発生は、上の歯(4.37%)よりも下の歯(7.58%)の方が多いですが左右で差はないようです。歯の種類では下の第二臼歯(下5番)が多く、次いで下の側切歯(下2番)、上の第二小臼歯(上5番)、上の側切歯(上2番)の順となっています。
【先欠を早く発見するにはどうしたらいいの?】
子供の場合、先欠を普段の生活で発見することは難しいとされています。なぜなら永久歯が存在しなくても、歯が生え変わる時期まで異常が起きることが少ないからです。そのため、4つの点で先天欠如を疑う必要があります。
1.乳歯の生え変わりが遅い
2.乳歯に癒合歯がある (2つの隣同士の歯がくっついた状態を癒合歯と言います。)
3.両親に歯の先欠がある
4.乳歯列のとき乳歯に先欠がある
以上のポイントはあくまでも可能性なので必ずあるわけではなりません。確実性を考えると、かかりつけの歯科医院に定期的に通い先欠がないかを早期に確認して頂くことをお勧めします。年齢によっては、永久歯の形がなく欠如歯の可能性があると思われる部位でも数年後に再度撮影するとその部位に永久歯が発見されるケースもあります。
【先欠は、噛み合わせや歯並びに影響はないの?】
永久歯が足りない状態のため、
1.歯と歯の間があいてしまい、すきっ歯になる
2.歯が生えていないスペースに隣の歯が倒れこんできてしまう
3.歯が生えていないスペースに上下の歯が伸びてきてしまう
4.噛み合わせが悪くなってしまう
などの、歯並びの悪影響が考えられます。
【子供の歯科矯正治療で先欠はどのように対応するの?】
子供の歯科矯正治療では状況に応じて以下の対応をとっています。
1.歯科矯正治療で足りない歯のスペース状況を閉じる
2.足りない歯のスペースを確保し、将来インプラントやブリッジ、入れ歯などで補う
3.乳歯の根が残っているようであれば、噛み合わせなど診断し、相談の上で残しておく
☆まとめ
1.永久歯28本の中で1本以上足りない状態を歯の先天性欠如という
2.多くの歯が欠如している場合には遺伝の影響や全身の病気、ホルモン分泌の異常などが考えられる
3.歯の先天性欠如に対する予防は難しい
4.歯の先天性欠如は約10人に1人
5.歯の本数が少ないと歯並びや噛み合わせに影響する
6.歯科矯正治療で歯のスペースを調整し、噛み合わせ治療を行うことも可能、場合によっては乳歯をそのまま残しておくケースもある