歯並びの種類(不正咬合)
今回は歯並び(不正咬合)の種類についてお話します。
【上顎前突(じょうがくぜんとつ)・出っ歯】
上顎前突とは、上の前歯が前に出ている咬み合わせの状態のことを言います。
いわゆる出っ歯といわれています。上の前歯が突出しているため、意識して唇を閉じようとしないとそのままでは口が開いてしまいます。
出っ歯には骨格による先天的なものと、日々の習慣や幼少期の指しゃぶりや舌癖(下で歯を押す)による後天的なものがあります。
【叢生(そうせい)】
叢生とは、歯が顎に入りきらず重なっていたり、デコボコしている咬み合わせの状態です。
乱杭歯や八重歯も叢生の1つです。歯の大きさや数に対して顎が小さい場合歯が並ぶ十分なスペースがなくなってしまいます。
歯ブラシがしっかりと届かず歯垢(プラーク)が残りやすいので、注意が必要です。厚生労働省の調査(平成23年)では、不正咬合の種類の中で叢生が最も多い(全体の43%)ということがわかっています。
【下顎前突(かがくぜんとつ)・受け口】
下顎前突とは下の前歯が前に出ている咬み合わせの状態のことを言います。これを反対咬合と言い、しゃくれともいわれています。
遺伝的な要因や、骨格、口呼吸、舌癖が原因になります。
顔の形に影響が出るだけでなく、食事の時に食べ物をかみ切りにくいなど生活にも影響します。受け口は自然に治癒されることはほとんどありません。
受け口の方は早期治療をおススメします。
【開口(咬み合わない)】
開咬は奥歯が咬み合った状態で、前歯が咬み合わず、上下の前歯に隙間がある状態のことを言います。オープンバイトとも呼ばれ、主に2種類あります。
遺伝的な要因や、おしゃぶりの使用、口呼吸、舌癖などが原因になることもあります。
奥歯は咬み合うが、前歯があいてしまう「前歯部開咬」
前歯は咬み合うが、奥歯があいてしまう「臼歯部開咬」があります。
学校の歯科健診などで歯科医師から指摘されることも多いケースです。
前歯で上手に食べ物が嚙み切れないばかりではなく、息が漏れやすく「さしすせそ」が上手に発音できません。
【正中離開(せいちゅうりかい)・すきっ歯】
正中離開とは歯と歯の間に隙間がある状態を言います。真ん中の歯と歯の間に少し隙間がある方や、複数の歯と歯の間に隙間がある方など様々なケースがあります。遺伝的な要因や、頬杖、片方だけで噛む癖などの原因があります。
歯の間に隙間ができた状態のため、常に息が抜けることから、特にさ行やた行の発音が不明瞭になることがあります。
国によってすきっ歯は「幸運の歯」「冨の表れ」などと言われることもあり、日本ではあえて治療をしない方も少なくないようです。
【交叉咬合(こうさこうごう)】
上前歯と下前歯の中心(正中線)が一致していない状態の咬み合わせです。
幼少期の指しゃぶりや、片側だけで噛む癖、頬杖などの日常的な癖が原因となることが多い症例です。
正常な咬み合わせであれば奥歯をかみ合わせたときに上の歯は外側に、下の歯は内側に収まります。ところが交叉咬合はこれが逆になり、咬み合わせが左右に大きく崩れるため、顎や顔が曲がったように見えます。片方だけズレが生じている場合と、左右両側にズレが生じている場合がありますが、いずれの場合も奥歯で物が噛みにくく、力を入れて食いしばることができません。
遺伝などの避けては通れない先天性の歯並びもありますが、日常的な癖の改善や適切な口腔ケアで歯並びの乱れを未然に防ぐことができることをしっていただけたら良いと思います。
2023年02月21日 10:47