MTA セメントとは?
最近出てきた歯科材料として、MTAセメントがあります。特徴として、
1,水分、湿気があってもしっかり固まる。(ほかの歯科用セメントは大抵湿気を嫌います。)
2,強アルカリであるので、殺菌作用がある。(大きな虫歯を取って神経が出た場合、このセメントを詰めると良い。)
3,骨の再生や象牙質再生に必要なカルシウムを徐々に放出する。(しっかり固まったセメントが徐々にとけだすため。)
などと、万能薬のようにして、これを使うことで、何故か自費としている歯科医院を見かけます。
このMTAセメントの正体を教えましょう。ただの工業用セメントを殺菌し、歯科用に使いやすくしただけです。
工業用セメントは、砂、砂利、水と混ぜてコンクリートになります。鉄筋コンクリートに使うセメントが歯科用MTAセメント同じとか冗談のようですね。
セメントは、鉄筋に経年劣化をおこします。セメントが強アルカリ性の上に、徐々に溶け出すカルシウムが、鉄筋を腐らせるのです。でも人体の骨再生、歯の再生にはその徐々に溶け出すカルシウム、細菌に強い強アルカリが、とっても良く役に立ちます。
問題は、保険が使えないから(嘘です。材料が使えないからと言って高額治療に誘導されるのです。)と言って、アコギな診療をしている医院が増えてきたということ。虫歯の治療で、神経がわずかに出る場合があります。保険で、1000円以内で終わる処置が、MTAセメントを使うと4万~5万するそうだ。やりすぎだと思いませんか?材料代は確かに高いです。ただの工業用セメントが、一袋一回分2000円程しますので。ぼろ儲けする医療メーカーの謎ですね。
ほかの材料と比べて確かに予知性が良いようにも思えますが、どれくらい優れているかのはっきりとしたデータは見当たりません。もう少し結果を見ていきたいと思います。これまで使ってきた材料と極端に結果が変わるとは思えません。
当院では、虫歯の治療の際、神経がわずかに出た場合、レーザーを神経に照射で殺菌をし、強アルカリ剤を詰め、上から通常セメントを詰め、硬化プラスチックで仕上げます。2回の処置で、保険3割負担で、全部で3000円くらいです。大抵の場合は、上手く行きます